「JR」が、「国鉄」と呼ばれていたころ。「山手線」の各駅で(※)、か・な・ら・ず。電柱にあった、縦長の広告看板、覚えてますか。シンプルにテキストだけ。『〇〇〇のコンビーフ』。ツートンカラー、なんだか説得力の強いデザイン。「山手線」です、どこから乗っても、どこで降りても、か・な・ら・ず、眼にする。
当時、この「どこまでもついてくる」看板について、『地政学』的な?『護符』的な? まぁ、“帝都東京”を守る、なんかしらの「まじないシステム」であろう。と結論付けておりました。いろいろと、“SF”(すこし・ふしぎ)小説を、読み込み過ぎていたのかもしれません。……よくよく考えれば。「覚えてね!」「選んでね!」「買ってね!」みたいな、具体性が、まったくない広告。
自分に例えてみたとして。通りすがりの知らない人に、「缶詰好きのタカイチカ」とつぶやいて、立ち去るようなもの。あぁ、あの看板は、やはりそうなのです。確信。「呪術的な、なにか」。
※山手線以外でも、設置されていたようです。
いまは、けっこうバリェーション、豊富です。
思い入れ、閑話休題。……もともと、「肉の缶詰」(cf、『コンビーフ』)は、レーション(兵隊さんの食料)用に、輸入された食材だったといいます。それは、「肉=栄養」発想の、明治時代のことでした。『富国強兵』がスローガンですから、兵隊さんには当たり前の「おかず」だったかもしれません。でも一般人にとって、「缶詰」は、「一般的」ではない高級品。「缶詰」は、軍の「放出品」として、民間に流通・普及していったといいます(※)。
……長く見慣れているせいか、クラシカルなイメージな「コンビーフ缶詰」。変わらず、たゆまず、「いつもの味わい」。だけじゃない!ちかごろは。原材料に「銘柄牛」を使っているもの、「無添加」や「低脂肪」をうたうもの、またまた「ポテト入り」なんていう、変わり種なんかも。舌の好み、きょうの食べ方にあわせて、試したり選んだりしてみたら。明治の人たちが、初めてコンビーフを口にした時みたいな「驚き」に出会えるかも、しれません。
※コンビーフ缶詰だけでなく、「缶詰」全般の普及についての、一説です。
コンビーフ缶
1缶(内容量100g)卵
2個トマト(横に1cmスライス、種を除く)
2個分食パン(4枚切り)
4枚バター
大さじ2塩・コショウ・小麦粉
適宜マスタード
適宜リーフレタス
適宜青じそ
適宜
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卵をボウルに割り入れ、塩・コショウを加え、溶く。フライパンにバターを熱し、軽く小麦粉をつけたトマトを卵にくぐらせ、両面焼く。
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で残った卵液を、食パンの両面につけ、両面焼く。
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コンビーフ缶を、縦にスライスし、、とともに、でサンドし、食べやすくカットする。マスタードを添える。
食パンのサンドイッチで苦手なのは、フィリングの水分を吸ったパンの食感が、「じゅうっ」ってなっていること。水分を遮断するものを塗る、マヨネーズ?バター?それ以外は?時間がたっても、なるべくそうならないように、考えてみました。
缶詰料理研究家。2005年「缶詰マニアックス」(ロコモーションパブリッシング)著、2006年「冒険缶詰」(ワールドフォトプレス)監修。
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