最初にお目にかかったのは、たぶん、喫茶店。「プリンアラモード」だったのかしら、「チョコレートパフェ」だったのかしら。とにかく、どれにも『TOP』に、堂々と(でも、ちょこんと!)鎮座していた、真っ赤な、あのコ。
「いつも私、お一人さま。オーダーしてもらっても、いつもひとりでしか、あなたと、出会えないのよ……」と、訴えていると思いました。
しかし、あなたは主役だった。あなたは『さくらんぼ』。いつだって、大切に、いちばん『上』に乗せてもらって、いるでしょう?あなたは、お姫様。あなたの『赤』は、ワレワレ民衆にとって、特別なのです。
例えば、年上の方に、お聞きすると、「特別な日、そうめん(ひやむぎ)に添えられていた」=いわゆる「ハレごはん」、「ゴージャス」なのだと。この、赤い一粒が、お料理、デザートに、1個添えてあったら、「あっ、わーい!」。
出会う機会が、限られていたから、余計に、大切でした。
『桜ん坊』って呼ぶと、もっとカワイイ。
毎年、超促成栽培のさくらんぼが、正月明けの初せりにかけられます。高値がつき、話題になります。そして、今年は、過去最高のお値段に。一箱500g、20万円(桐箱入り)。ひと粒あたり……約3000円弱!……
春過ぎから、さくらんぼの樹自体!を冷蔵庫に移し、受粉や成長をコントロール。その後、ビニールハウスに移動し、初せりにあわせ、育てるとのこと。それだけ手間をかけているなら、そうでしょう、美しさも、味も、香りも、そして価格も。まさに『赤い宝石』です。
とはいえ、『赤』を競うなら、ノスタルジックな、缶詰の「レッドチェリー」には、かないますまい。最近は、ナチュラル志向の方むけに、無着色のさくらんぼ缶もありますが、やはり、あのひと粒の『赤』は。子供心に感じた、あの可愛らしさ、あの「ドキドキ」は、譲れない。
春は、桜。桜の子ども、『桜ん坊』。人の子どもは『赤ん坊』。赤くて、小さくて、無条件に『カワイイ♡』と思わせてしまう、双方。そのカタチには、魔法が秘められているのかもしれません。
さくらんぼ缶
3缶(内容総量90g×3)白桃缶
1缶(内容総量110g)牛乳
120ccバター
適宜小麦粉
40gアーモンドパウダー
大さじ1
※なければ、焙煎していないごま油や、溶かしバターで代用。卵
3個ラム酒
大さじ1
※あればキルシュ酒塩
ひとつまみ
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をボウルに入れ、なじむよう混ぜる。少しずつ牛乳を加え、混ぜ合わせる。
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に、缶汁を切ったさくらんぼを加え混ぜる。バターを塗ったフライパンに流し入れ、弱火で火が通るまで、ふたをして焼く。
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火が通ったら、水分が生地に吸収されるまで、冷ます。
様子をみて火からはずす、焼き網や鉄板を、フライパンとの間に挟む、底が、焦げないように、気をつけて。焼きあがりできたて、でなく冷めるまで待つと、オーブン焼きとは一味違う、しっとりじゅわっ、な、食感が楽しめます。
缶詰料理研究家。2005年「缶詰マニアックス」(ロコモーションパブリッシング)著、2006年「冒険缶詰」(ワールドフォトプレス)監修。
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