照りつける陽射し。麦わら帽子。降るような、蝉の音。そんな遠い夏の日の、3時のおやつといえば。もちろん、棒アイスもですが、やっぱり懐かしいのは、「水ようかん」。
お中元の定番として、缶の「水ようかん」の詰め合わせを思い出される方、多いのではないでしょうか。缶詰の「水ようかん」には、だいたい、プラスチックの蓋がついていて、それを開けると、小さいスプーンが入っていて。「どうぞ、コレで、召し上がれ」と。細かい「親切設計」が、また、心憎いのです。パカッと開ければ、こしあん、つぶあん、抹茶味、など。つるっと、舌にとろける、冷たい甘さ。まさに、夏の味覚。ですが、地方によっては、「水ようかん」は、「冬の味覚」とも。
例えば、福井県では、厳冬、温かいこたつでぬくぬくしながら、冷たい「水ようかん」、というのが、風物詩だとか。
「日持ち」させたい……だから缶詰。
そもそも、「ようかん」と「水ようかん」の違いは、なに?一般的な「ようかん」は、小豆(生あん)、砂糖、寒天を、練り、煮詰めたもの。「日持ち」抜群。対して「水ようかん」、材料は同じ。でも、練り煮詰めずに冷やし固めたもの。「生菓子」なんです。洋菓子なら、パウンドケーキとシュークリームの違い、というところ、でしょうか。その「生菓子」な「水ようかん」を、日持ちさせたい……と生まれたのが、缶詰「水ようかん」。
夏場は和菓子の売り上げが落ち気味、ということで、あっさり系、かつ「日持ちのする」夏の甘味として、考案されたといいます。時は、昭和初期でした。ちなみに、「日持ち」する「ようかん」が、海外輸出用に缶詰だった時代も。大正時代、マッターホルン登山隊の食糧(おやつ?)のひとつとして、ともに登頂を果たしたという逸話が。やはり、缶詰という『食品パッケージ技術』への信頼度、昔から、高かったんですね。
水ようかん缶
1缶(内容総量83g)ごはん
適宜粉山椒
適宜砂糖
適宜豆乳・練りごま
適宜
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ご飯に砂糖をかけ、温まるまでレンジ加熱する。ラップに広げ、さらに上からラップをかけ、瓶などでたたき、あらくつぶす。
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水ようかんを取り出し、4等分にカットし、それぞれで包む。
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に粉山椒を振り、盛りつけ、を混ぜたものを添える。
夏の風物詩、水ようかん。でも、ご贈答でいただいたり……余ってしまうことも、ありますよね。そのままでも、もちろんおいしいですが、和のハーブの香りと風味を加えてみると。簡単、和デザートの、できあがり。
缶詰料理研究家。2005年「缶詰マニアックス」(ロコモーションパブリッシング)著、2006年「冒険缶詰」(ワールドフォトプレス)監修。
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