時は、いまを遡ること、明治4年。長崎に住む、松田雅典という人物、フランス人のお雇い教師、レオン・デュリー氏が、本国から持ち込んだ「なにか」を、食しているところを、目撃。「それは何ですか?」と尋ねたであろう雅典氏、「これは、『缶詰』というものである」と答えたであろう、デュリー氏。
雅典氏、いたく興味をそそられた。そして、彼の人の指導のもと、自ら缶詰の製造を研究し、完成した「日本初」の缶詰とは。それが「いわしの油漬け」、つまり「オイルサーディン缶」、だったのであーる。
……諸説ありますが、これが日本産の缶詰製造の、日本の缶詰の歴史の始まりであると、広く語られています。当時、食品の輸送技術や、長期保存のバリエーションは少なく、特に足の早いいわしは、日持ちしないため、たくさん取れても肥料などにされていたといいます。どうしても、日本人の「もったいない精神」が、垣間見える気がします。
開けてみるまでわからない、という愉しみ。
スーパーの棚には、さまざまな国籍の、さまざまなメーカーが製造した「オイルサーディン缶」が並んでいます。基本、価格とラベルのデザインから、購入を決めることが多いのではないでしょうか?
主に平たい缶が使用されていますが、ぜひ、開けて見比べ、味わい比べてみてください。
まず、入っている魚のサイズが、まるで違ったりします。同じ大きさの缶でも、ごろっと大きいのが2尾入っているもの。また、1cm×10cm程度の小さいいわしが、びっしり10尾以上、詰められているもの。生の魚でも、大きさによって、脂のノリや味わいが違うのは、周知の事実。缶詰になっても同様です。しかし、「原材料表示」から、コレは読み取れない。「開けてみるまで、わからない」。この、「中が見えない」ということも、「缶詰の愉しみ」のひとつではないかと。
ちょっとココロのモードを変えて、「なか、どうなっているんだろう?」とドキドキしながら、缶詰を開けてみませんか?
サーディン缶
1缶(参考:固形量65g、
内容総量105g)日本酒
大さじ1~2醤油
適宜好みの青み野菜
適宜大根
適宜卵黄
1個分
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フライパンに、油を切ったサーディン、日本酒を入れて火にかけ、香ばしくなるまで焼く。
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をボウルに入れ、混ぜ合わせる。
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を合わせて盛りつけ、青み野菜をトッピングし、醤油を添える。
極小サイズの「焼き魚」です。ですから、しっかり焼き目をつけることが大切。
ただし、強火で焼くと、バシッと跳ねることがあるので、気をつけてください。骨ごと食べれるのもうれしいところ。お子様の魚ギライに、効くかもしれません。
缶詰料理研究家。2005年「缶詰マニアックス」(ロコモーションパブリッシング)著、2006年「冒険缶詰」(ワールドフォトプレス)監修。
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