日本の缶詰産業は、明治以降、発展してきました。特に、日露戦争のあと、北海漁業が可能になり、魚介缶詰の生産量が大きく増えたといいます。
紅サケ、かに、などの缶詰も、そういった経緯で、生産が増えていった、缶詰です。かに缶に使われるかには、一般に冷蔵で流通されるかにと同様、大きな円形のかごで捕獲され、ボイルされ、使われます。過去の話ですが、小林多喜二氏の小説「蟹工船」の描かれた時代には、船の上で、缶詰加工がされていた場合も、あったようです。
……ともかく。かにの殻をむくの、大変じゃありませんか?むいているとき、無言になってしまいますよね?せっかくおいしいものなのに。いっしょに食べている人と、その気持ちを、分かち合えないなんて。だから、むいてくれているかに缶、素敵なんです。
大事だから包んでいる?あの、紙の理由。
かに缶、ほたて缶。缶を開けてみると、中身が紙に包まれているものがあります。実は、缶詰は、スチールやアルミだけで作られている、わけではありません。
缶の内側に、塗装や、ラミネートコーティングが、施されているものも。過去、まだ、そういった技術が不完全だったころがありました。塗装などに、針で刺したような穴(スポット)が、もし開いていたら。そのスポットに、魚介類の体液が触れると、魚介類の身が反応して、部分的に変色してしまうことも(衛生上は、全く問題ありません)。
その、見た目のリスクを防ぐために、紙で巻くことになったといいます。現在では。中身を詰める前の、缶そのものを作る技術(製缶技術)は高度に進歩し、リスクは、ほとんどなくなっています。それでも現在も、「紙巻き」の缶詰が残っているのは、ノスタルジーに敬意を表しているのかも?
※個人的には、中身が崩れないようにクッション材の役目を果たしていると、考えています。
紅ずわいがに脚肉水煮缶
1缶(参考:固形量125g)春巻きの皮
5枚程度サラダ油
適宜好みの葉野菜
適宜卵
1ケ片栗粉
小さじ1塩
ひとつまみ醤油、米酢
適宜
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缶詰のかにの身と缶汁を分け、かにの身に春巻きの皮を巻く。
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を混ぜたものにつける。
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サラダ油をひいて熱したフライパンで、両面焼き、を葉野菜とともに盛りつけ、缶汁とを混ぜ、添える。
そのまま食べることの多い、かに缶。
かといって、チャーハンとか、うま煮の具材にするのは、なんか、もったいない。(貧乏性)で、こんな、かにの色合いを活かした、メニューはどうでしょう?
おかずにも、おつまみにも。
缶詰料理研究家。2005年「缶詰マニアックス」(ロコモーションパブリッシング)著、2006年「冒険缶詰」(ワールドフォトプレス)監修。
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