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日本橋容器大学

第5回 賢く食べましょう。(その1)

飽食の時代などといわれて20数年が過ぎますが、さらに豊かになったわが国の食環境の中で、この豊かさが外国に依存して成り立っていることを私たちは深刻に受け止めなければなりません。

現在はエネルギー換算で自給率が僅か40%というレベルで、これはいわゆる先進国といわれる国々の中では最低です。何かの関係で輸入が止まった場合には私たちは飢えてしまうわけです。私たちが必要とする食料は先ず自分の国で生産されることが望ましいことです。勿論自給率100%ということはありえませんから一定量の食糧を輸入できる経済力も不可欠ですが、現在はあまりにも外国に依存しすぎています。また、BSEの問題、残留農薬、偽った食品表示その他食品に関する不安材料が多すぎます。真の豊かさとは何かをしっかり考えなければならない時を迎えているのです。

現在のように食べ物が豊かにあり自由に選択できる環境ではその選択が賢明になされないと健康にもまた社会的にも多くの弊害が生じます。世界一の長寿国となったわが国ですが、健康で活き活きと生活できる年齢つまり健康寿命と平均寿命の差が大きいのもわが国の特徴なのです。長生きするのであれば最後まで、健康でありたいと願うのは誰でも同じでしょう。

食べることは毎日の営みですから、これが健全になされているか否かで生涯にわたる健康づくりには大きな違いが生じます。食べることは健康づくりの基本ですから。しかし、何をどのように食べるのが良いのかその基本がよく理解されていないようにも見受けられます。現在は食生活が要因と考えられる健康障害が増加しています。糖尿病、高コレステロール血症、動脈効果、肥満、心疾患その他いわゆる生活習慣病と呼ばれる症状を持つ人が増加しており、しかもこれが低年齢化しているのです。勿論これらの症状には遺伝的要素も関わりますが、食生活のあり方が大きく影響しています。

これらの症状はかつて成人病とよばれていました。現在は成人にかぎったことではなく、子供や若年層にもみられており、食生活をはじめ生活習慣が起因することから生活習慣病とよばれるようになったのです。生活習慣病には至らなくとも、体力のない若者が増加しているとの調査結果が報告されています。これは日常の生活の中でもしばしば感じられます。電車の中で、座席に座りたがる若者が増えています。近くに高齢者や妊娠している女性が立っていても席を譲ることをしないのです。電車の中に座り込む若者も増えています。情けない光景です。

電車の中に座り込む若者

 

厚生労働省が毎年国民栄養調査を行っています。その結果によると朝食の欠食率が20歳代男性で30.5%、女性が18.3%となっています。高齢者では少ないのです。若い時からの食生活の欠陥が中高齢になったときに症状として出てくるのです。健康は子供のときからの食生活の延長線上で培われるのです。子供の食事は周囲の大人が管理してやらなければなりません。

次回からは、何をどれだけ、どのように食べるのが良いのか、その具体的なお話を致します。

文:女子栄養大学名誉教授 吉田企世子