知る・楽しむ Special

 

日本橋容器大学

第2回 缶詰の保存について

缶詰と聞くとどのようなイメージがわくでしょうか。

室温で長く保存できる。開けてすぐに食べられる。しかも廃棄するところなくすべて利用できる。これらの点はまさに缶詰食品の特徴そのものです。ところが、年配の人の中には生鮮食品としては利用できない、傷みかかった材料を缶詰にしているのではないかと、とんでもない誤解をしている人がいるのです。

缶詰に限らず、どのような加工食品でもそうですが、製造する際には、先ず原料の選択が第一に重要なことです。優れた加工食品は極めて新鮮な優れた材料を用いないと作ることができません。缶詰の製造工程では容器である缶に食品を詰めた後に中の空気を除いて(脱気)密封し、加熱殺菌されています。

したがって、室温で長く保存できるのです。長くといっても、内容の食品によって保存期間は異なります。腐ることはありませんが、歯ごたえが柔らかくなりすぎたり、変色することがありますから、おいしく食べられる期間、つまり、賞味期限があります。これは容器に示されているので、必ず確認して下さい。しかし、賞味期限が少し過ぎているから食べられないということではありません。風味がやや劣る程度なのです。めったにないことですが、もし、缶が膨張していたり(正常なものは缶の上下がややへこんでいる)、わずかでも中から液がにじみ出ているものは、食べられません。

逆に、製造されてから、より新しければよいというものではないのです。中の食品が調味液と均一になっておいしくなるのに、一定の期間がかかるのです。

保存する際は、次の点に注意してください。

1、太陽の当たらない所に置く
2、缶に水滴がつかないこと(缶がさびるとそこから腐食しやすい)。

冷たくして食べるために一時冷蔵庫に入れるのは良いのですが、保存のために冷蔵する必要は全くありません。開缶した食品が、もし残った場合には、缶から出して、別の容器に入れて冷蔵し、なるべく早く(翌日程度に)使います。缶に入れたままで置くと味が落ちます(食品によっては金属が溶けることがあります)。

缶詰食品の種類は大変多くありますが、日常の料理の素材として便利に使える、「素材缶」と呼ばれる缶詰食品が多種あります。タケノコの水煮、マッシュルームの水煮などはご存知でしょうが、大豆の水煮缶詰があることを知らない人が多いのです。大豆は栄養価の高い食品なのですが、柔らかく煮るのに時間がかかるために、家庭で大豆を用いた料理があまり作られなくなってしまいました。しかし、缶詰を利用すると、簡単においしくしかも栄養価の高い料理がつくれます。

缶詰の製造過程で高温で加熱殺菌されているので、大豆がより柔らかくなっています。この大豆と切り干し大根(温水につけてもどしておく)、ひき肉などを組み合わせて煮ます。味付けはしょうゆ、みりん、など、胡麻油を用いるとこくと風味が加わります。10分くらいで出来上がります。切り干し大根の代わりに白滝を用いてもよいでしょうし、色々な材料と組み合わせると料理の種類が広がります。

これらの栄養価については次回に示します。

文:女子栄養大学名誉教授 吉田企世子