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日本橋容器大学

賞味期限と安全性

1.賞味期限とは

 缶詰、びん詰、レトルト食品は他の加工食品よりもはるかに長く貯蔵できるのが特長ですが、密封容器に詰めて加熱殺菌していることがその理由です。加熱殺菌によって腐敗や病気の原因になる微生物が発育しないことと、密封容器によって微生物汚染を防いでいるのと酸素や光などを遮断して品質変化を防いでいるためです。微生物学的安全性は密封が保たれている限り保証されますが、おいしさなど品質については時間とともにわずかずつ変化して明らかに低下したと判断される時がきます。

 賞味期限とは主にこのような変化に注目した考え方です。定義によると「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質を保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超す場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」と表現されています。
 これに対して消費期限はそれよりずっと短く「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化を伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう」となっており明らかに異なるものです。右の図はその違いを表しています。

賞味期限と消費期限のイメージ
出展:農林水産省ホームページ:食品の期限表示について
 http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/kigen.html

 

2.賞味期限を決めるには

 賞味期限は事業者が自主的に決定し公的に決まっている訳ではありません。その決定は個々の食品の安全性や品質について、客観的な指標に基づいて決めることになります。缶詰などは品質が決め手になるので、味、香り、色、肉質などについて、関連する成分を分析することでも可能ですが、むしろ人の感覚による官能評価で決められることが多いようです。このために数年間にわたる貯蔵試験を行う必要がありますが、常温に対して10度から20度くらい貯蔵温度を上昇させて化学変化を促進し、試験期間を短縮して推定することも可能です。
 このようにして賞味期限を求めると、製品の種類、また同じ製品でも製法などが違うと差があることがわかります。その原因は食品に含まれる成分の違いやそれらの反応によります。一般的に肉や魚など、またその水煮や油漬けなどの製品の品質は比較的安定しています。それに対して果実、野菜など糖や酸を多く含むもの、また醤油や砂糖で味付けした製品は色や風味の品質変化が大きくなる傾向があります。
 品質の変化には温度が大きく影響します。低温より高温で保存すると変化が速く、従って賞味期間は短くなります。缶詰などは冷蔵庫で貯蔵する必要はありませんが、それでも置き場所に注意して涼しい所を選べば本来の賞味期限をさらに延ばすことができます。透明のびんやパウチでは光の影響を受け、またプラスチックフィルムによっては酸素透過性が無視できず、いずれも缶詰より賞味期限が短くなります。

3.缶詰の賞味期限

 缶詰やレトルト食品の容器には規則に従って賞味期限の日付が表示されています。缶詰では製造後3年目の日付を表示していますが、これは日本缶詰協会の申し合わせとして統一を図っているからです。実際の賞味期限はもっと長い場合が多いのですが、一般に少し安全を見て短めに設定することが推奨されています。缶詰でもそれを考慮しています。したがって多くの製品では3年を経過しても十分賞味できます。先に述べたように保管する温度が重要で、高温を避けて適正に保管したものであれば賞味期限を過ぎても十分おいしく食べることができます。

4.安全性の確認

 賞味期限内あるいはそれを過ぎた製品について安全性を確認する一つの方法は、容器の外観を観察することです。容器に穴が開いていると中身が漏れて変色したりカビが発生するので一目でわかります。もちろん内容物は食べることはできません。
 次に問題なのは容器が膨らんでいる場合です。缶詰などは製造時に空気を除くため減圧状態になり、正常なものは蓋が少し内側に凹んでいます。膨らんでいるのは内部にガスが発生しているためですが、まれに微生物が発育したり、金属面が腐食していることが考えられます。微生物が原因となる膨張では内容物に異臭や肉質の変化などがみられます。内面腐食では容器内の変色や異変があります。軽度な膨張では食べても問題のない場合もありますが、用心のため製造元や専門家の意見を聞くことをおすすめします。なお、炭酸飲料や窒素ガスを充填した缶飲料などは故意にガスを使用しているために缶が膨らんでいるので問題はありません。

文:社団法人 日本缶詰協会 増田寛行