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日本橋容器大学

包装容器が果たしている役割って?(その1)

包装容器とは

人類が大切な食糧を所蔵・保管・運搬・分配するための生活の知恵として生まれ、産業革命、第二次大戦後の技術革新を経て飛躍的発展を遂げ現在の様に多角化してきた包装容器について、現在どの様に整理され、また定義されているでしょうか?

包装並びに容器に関係する用語は、日本工業規格(JIS)Z0101-1951並びに(JIS)Z0108-1974により、また医薬品包装容器については日本薬事法並びに日本薬局方により詳細に規定されています。

缶

 

包装とは (packaging)、 物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって、その価値及び状態を保護するために適切な材料、容器などを物品に施す技術又は施した状態をさします。これを1.個装 、 2.内装 及び 3.外装 の3種類に大別することができます。

なお、ここでいう 1.個装 (item packaging) とは、物品個々の包装で、物品の商品価値を高めるため、又は物品個々を保護するために適切な材料、容器などを物品に施す技術、又は施した状態をさします。また、個装は商品として表示などの情報伝達の媒体にすることもできます。消費者が実際に手に取る最小単位の包装で、商取引上最も重要な包装であり、商業包装の範疇に入ります。

2.内装( inner packaging) とは、包装貨物の内部の包装をいいます。包装する物品・個装を保護するため、水、湿気、光熱、衝撃などを考慮して、包装貨物の内部に更に適切な材料容器等を施す技術及び施した状態をいいます。

3.外装 (outer packaging) とは包装貨物の外部の包装で、物品又は包装物品を箱、袋、たる、缶などの容器に入れ、若しくは無容器のまま結束し、記号、荷印などを施す技術、又は施した状態をさします。物品の輸送保管を目的とする包装で、商業包装に対し工業包装と言われます。

では、容器という言葉についてはどうでしょうか?

容器とは物品又は包装物品を収納する入れ物の総称のことです 。例えば出荷などに利用するコンテナやダンボール箱、清涼飲料が入っている缶や、PETボトルも容器と呼びます。缶詰の缶やドラム缶、ガラスびん、剛性の高いプラスチックボトルなどを 剛性容器 (rigid container) と呼び、これよりやや柔軟性をもつプラスチックボトルなどは 半剛性容器 (semi-rigid container) と区分され、また、パウチのように柔軟性を持つものを フレキシブル容器 といいます。

私達が日常スーパーなど店頭で購入している缶・びん・ペットボトル・パウチ入りの食品や飲料製品などの包装は“個装”といわれ、使用されている各種容器はそれぞれ、容器素材や形態により「剛性容器」「半剛性容器」「フレキシブル容器」と分類されることになります。

■関連資料:JIS規格  表1-1、  表1-2
包装の分類とその種類

上記のように、JIS規格では機能面より3種類に分類され成文化されていますが、それ以外に包装材料、包装目的や使用法、対象商品、包装技術などにより、包装は表2のように分類されます。 ■関連資料: 表2

包装容器の役目って?

包装の基本的な働きは、 1)内容物の保護、2)取扱いの利便性、3)情報の提供 の3大機能にあると言えます。

包装はガードマンとして包装対象商品の価値や品質を保護し守るために、外敵よりの攻撃を阻止しなければなりません。また、商品の製造・販売ルートにおいて、ヘルパーとして取扱いやすいように、また消費者が使いやすく、処理しやすいように働かねばなりません。

更に商品自身がセールスマンやマネキンに変身して商品のブランド、特性、品質、製造内容、使用法などの情報を発信し、セルフサービス時代の販売ルートに踊り出る役目を果たさなければならないのです。

包装の基本的な働き

 

包装食品が支える豊かな食生活

現在の豊で便利な食生活は、多様化するライフスタイルに対応し開発された各種包装食品により支えられています。そして、これら包装食品が 食品加工技術包装技術 の進歩と両者の絶妙な癒合・協力の基に開発されてきた事に思いを馳せながら包装の果たす役割を具体的に眺めて見ましょう!
食品の価値(品質)は1 ,栄養 2,嗜好 3,生体調整機能 の三大機能の良否、即ち美味しくて栄養豊富で健康増進や老化防止機能の高さと安全性で決まります。 食品には生鮮食品と加工食品が有りますが、 食品加工技術 は両者の価値(品質)を高め維持するために施す技術で、 1)美味しく・食べ易く・消化吸収し易くする調理加工技術 と、 2)変敗・変質の遅延と防止を図る保蔵・保存加工技術 に大別されます。

食品加工技術 には、 微生物が利用できる水分量の減少を図る塩蔵・乾燥・砂糖漬法、食品のpHを下げる酢漬け法、低温に保持する冷蔵・冷凍法、除菌ろ過法、加熱及び冷熱殺菌法、などがあり、それら技術は工業的にも著しく進歩し各種の優れた加工食品が開発されてきました。

しかし、優れた加工食品もそのまま放置されると下図に見られるとおり外部から生物的、微生物的、化学的、物理的攻撃に曝されて、その価値(品質)が短時間の内に損なわれます。

缶詰城の攻防

これら外敵の攻撃から食品を守るためには、 バリヤー性が高く(生物・微生物、光・酸素を完全遮断)、機械的強度を持ち熱伝導性が高く加熱殺菌・冷却効率が高い金属缶 のような、優れた防御性能を持つ容器に加工食品を収納密封した後加熱処理するなど、 食品の価値を長期間保護する技術、即ち包装加工技術との共同作業が不可欠 になります。

現代の豊かな食生活を支える包装食品は、 食品加工技術 と優れた 包装技術 のコラボレーションにより誕生したと言って良いでしょう。

食品包装技術とは、加工技術で築かれた食品の価値を更に高め、長期間保持する為に施す環境維持・制御技術で包装食品の安全性と信頼性を確保する重要な役割を担う技術 と言えます。 ■関連資料: 表3

包装技術 には、表3のように缶・びん・レトルトパウチなど密封加熱包装、真空包装、ガス置換・封入包装、無菌充填、無菌包装技術並びに生鮮食品・果実のCA又はMA貯蔵法などがあり、広く利用されています。

包装技術は食品加工技術と共に、現代の豊かで便利で安全で信頼出来る高品位の食生活確立への影役者として貢献してきたのです。

文: 元大和製罐株式会社総合研究所長 長澤善雄