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第26回 リチウムイオン電池の外部短絡試験規格(全体観)

リチウムイオン電池の試験の一つに外部短絡試験があり、様々な試験規格に規定されています(試験規格についてはこちらを参考にしてください)。

試験規格は単電池だけでなく、組電池にも適用されます。試験時の温度は20~25℃の室温雰囲気下または55℃の高温雰囲気とします。またほとんどの場合、満充電状態の試験サンプルを使用します。

おおまかには、リチウムイオン電池の容器(円筒缶、角型缶、ラミネートパウチ)の外部に露出している+極と-極の間に、5~100mΩ程度の抵抗器を直列接続して回路を構築し、短絡電流を流す試験です。

このとき回路全体の電気抵抗は、前述の抵抗器の抵抗Rと、リチウムイオン電池の内部抵抗Rbattの和になります。回路を流れる短絡電流Iは、電池電圧Vからオームの法則 I=V/(R+Rbatt)で得られます。リチウムイオン電池の内部抵抗Rbattは電池種類・容量により様々ですが、単電池ではおおむね0.1~5mΩ程度の場合が多いようです。

電池の内部抵抗Rbattを無視して単純計算すると、例えば100mΩの外部短絡試験では3.7Vの単電池に対して約37Aの短絡電流が、24Vの組電池に対して約240Aの短絡電流が流れます。ただしリチウムイオン電池の様な化学電池の性質として、電池電圧Vは放電していくと徐々に下がるので、短絡電流Iも徐々に下がっていきます。

短絡電流が流れている間、リチウムイオン電池はジュール発熱 W=I×V=V2/Rbattが生じて温度上昇します。すなわち、発熱量Wは電池電圧Vの2乗に比例、内部抵抗Rbattに反比例します。短絡電流による許容以上の温度上昇は、熱暴走に繋がる可能性があります。

放電時のリチウムイオン電池内部では、負極からリチウムイオンが電解液に放出され、電解液から正極に吸収される一連の電池反応がおこります。ただしこのときのリチウムイオンの電解液中移動速度には限界があり、この速度を超えたレートでの短絡電流が流れた場合には、リチウムの局所的な過剰・欠乏が発生します。その際、副反応や発熱が発生して、電池の安全性に影響を与える可能性があります。

温度が高いと電池の内部抵抗が下がるので、高温雰囲気での外部短絡試験は、①短絡電流が大きくなること、②電池の温度上昇の起点が高温であること の2点で試験が厳しくなります。

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