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第16回 ご紹介 低コストでリアルタイム性の高い電池容量劣化診断の方法

 定置用蓄電システムの電池容量劣化診断が重要である事は、以前のコラム(第14回 リチウムイオン電池の劣化診断について)でご紹介したとおりです。しかし、定置用蓄電システムの価格は現状まだまだ高価であり、特に産業用途では電気料金削減による投資回収が長期化してしまう状況となっています。従って、劣化診断機能を付加価値として付与する余地が極めて少ないため、低コストな劣化診断手法が求められていました。

 電池容量を診断する方法としては既に様々な推定手法が知られており、例としては、

 (1) 電池を満充電にしてから完全放電し、容量を実際に測定する
 (2) 電池に対し交流インピーダンス測定を行い、電池容量を推定する
 (3) 電池の充放電過渡特性をインピーダンスに変換し、電池容量を推定する
 (4) 充放電曲線を微分し、得られたグラフから電池容量を推定する

などが挙げられます。これらは高い精度で電池容量を推定できる反面、蓄電システムの稼働を停止して診断の為の運転をしなければならなかったり、専用の装置が必要であったりと、コスト面やリアルタイム性の面でそれぞれ課題がありました。

 そこで、当社では定置用蓄電システムの自己監視データと、一般的な稼働における充放電パターンに着目しました。ポイントは次の2つです。

  • ①定置用蓄電システム(特にリチウムイオン電池を搭載したもの)は、搭載している蓄電池の電圧と温度を常時計測しており、その値が利用可能であること
  • ②定置用蓄電システムはピークシフト・ピークカット・太陽光発電連携運転など、夜間電力の昼間への置換を行うために、毎日明け方に満充電まで充電されること

 これらの状況から、図1に示す充電上限電圧と放電開始後10~20秒後電圧の差電圧を利用するという着想が生まれました。この方法では、上記①の測定電圧が利用でき、上記②の理由で毎日診断のチャンスがあります。従って、新たな装置を取付ける事なく制御プログラムの書換えのみで対応でき、1日1回の診断を実施できる低コストかつリアルタイムな診断方法が実現します。

<図1. 劣化診断手法のイメージ>

<図1. 劣化診断手法のイメージ>

 図1の差電圧と、電池の容量は図2の様な線形関係(y=ax+bの直線的関係)となります。稼働初期段階ではある現象※のため電池容量が新品よりも増加することがあるのですが、この場合も半年程度稼働したのちに線形関係になります。この関係性は、弊社の調査によると相関係数-0.95程度であり(負の相関なのでマイナスの値になります)、相当に高い相関性があります。

<図2. 差電圧と電池容量の関係のイメージ>

<図2. 差電圧と電池容量の関係のイメージ>

 この劣化診断を実施するためには、蓄電システムに搭載した電池を何度も充放電してデータをとる必要が1回だけありますが、この測定さえすれば、線形式y=ax+bを得ることができます。あとはこれを制御プログラムに組込むだけです。

以上、今回は低コストでリアルタイム性の高い電池容量劣化診断の方法をご紹介しました。

※なお、「ある現象」については、別の機会にご紹介します。

2015年10月29日に神奈川県ものづくり技術交流会で、この劣化診断に関する研究発表を行いました。 その際の講演資料を無料でお配りしております(PDF:約710kB)。ご希望の方はこちらをクリックし資料をご請求ください。

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