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第14回 リチウムイオン電池の劣化診断について

※「リチウムイオン電池の劣化診断」については、コラム第23回(リチウムイオン電池の劣化診断について(詳報))により詳細な記事がありますので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

平成27年電気学会全国大会(2015年3月24~26日、東京都市大学世田谷キャンパス)にて、リチウムイオン電池の劣化診断に関する報告を致しました※1

以前のコラム(第11回 最近の社会の動きから見た蓄電池のエネルギー効率の重要性)でも触れましたとおり、増加する再生可能エネルギーの電力系統への受け入れが困難となる事例が発生しており、その解決策の一つとして蓄電池の導入が進められています。これに関して政府は、平成26年度補正予算で蓄電池導入に対する補助金財源を確保しました※2

このような状況から、今後リチウムイオン電池等が使用された定置用蓄電池の数が更に増加する事が想定され、これら多数の蓄電池をいかに効果的に運用・メンテナンスするかが課題となります。

以前のコラム(第10回 リチウムイオン電池内部の交換電流)でご紹介しましたように、リチウムイオン電池は化学反応によって動作するデバイスです。化学反応は目的とする反応(リチウムイオン電池の場合は充電と放電)だけを発生させる事が難しく、多くの場合、副反応が同時に発生してしまいます。この副反応によって、リチウムイオン電池の電池容量充放電効率・出入力特性は徐々に低下していきます。これらの性能低下のことを一般的に『劣化』と呼びます。

当社のインテリジェント蓄電システムの様な定置用蓄電池の場合、劣化の中でも特に電池容量と充放電効率の低下が運用上問題となります。電池容量が低下すると、再生可能エネルギーの蓄電池への受入量が減少したり、非常時のバックアップ能力が低下してしまいます。また、充放電効率が低下すると太陽光や風力などの発電装置を含めたエネルギーマネジメントシステム全体の経済性が低下し、初期投資の回収期間が長期化してしまいます。

リチウムイオン電池の劣化の進み方は、その動作状況や周囲環境の影響を受けるため、単純に蓄電池の使用期間だけで劣化や寿命の判断をする事が困難です。また、1台の定置用蓄電池の内部には複数の単電池が搭載されていますが、同じ1台の装置の中にある各単電池の劣化状態が異なる場合もあります。従って、蓄電池を効果的にメンテナンスする為には劣化診断法の確立が必要であり、様々な研究が進められています。

劣化診断が可能になれば、劣化し寿命を迎えた蓄電池を交換し継続運用することができるようになります。また、最近の定置用蓄電池はシステム情報を通信ネットワーク経由で遠隔地へ伝送する事ができるので(当社のインテリジェント蓄電システムもオプションで機能搭載できます)、各地に散在する蓄電池の劣化状態の監視を1ヶ所のデータセンターで実施する事ができると考えられます。

そこで当社では、定置用蓄電池の通常運用時の動作と制御・監視データを利用する事による、低コスト・低演算負荷・低通信負荷なリアルタイム劣化診断法を検討しております。冒頭にご紹介しました電気学会全国大会での報告は、この劣化診断法検討について実施致しました。

今後も当社では、継続的にリチウムイオン電池の劣化診断法研究を進めてまいります。

※1 平成27年電気学会全国大会ホームページ(http://www.gakkai-web.net/gakkai/iee/program/2015/prog/abstract/7-057.html)
※2 環境共創イニシアチブ「平成26年度補正予算 再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金」(https://sii.or.jp/re_energy26r/)

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