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だいわマンダイアリー

第1回 どうしたらスムーズな肩ができるの!!ニューボトル缶

ニューボトル缶は、本当に完成するのだろうか??

技術開発センターの榎木です。

今では、色々な飲料で採用されているニューボトル缶。 開発時、開発設計担当者は、もうわけがわからなくなり、頭をかきむしり苦闘していました。これからの時代はリシール機能( もう一度栓をすることができる機能 )がある画期的な缶が必要だ・・・そして画期的な新しい缶には美しい形が絶対必要だ!と信じ、不可能と思われたきれいな曲線でできた肩「ニューボトル缶のスムーズな肩」を実現した時のお話をします。

ニューボトル缶のスムーズな肩

 

私が所属する設計チームは、「絞り成形( 金属板を円筒に成型する技術 )」を理論で考え、成形金型を設計するセクションでニューボトル缶の開発に当り、製品形状を決め、これを実現する金型を設計していました。ニューボトル缶は当社の大型新製品です。 今までにない美しく画期的な缶を創ろうと全社を挙げて推進していました。 美しい形を創るためには「スムーズな肩」がどうしても必要で、できなければ商品化できません。 当時の私の机は大変な事になっていました。

あちこちの部署から、電話やメールがバンバン届き、「もうできたのか? まだか?!」「会社のトップが「早く作れ!」と言っているぞ!」、「何が問題なんだ!」矢継ぎ早の催促や質問が届き・・・まだ問題が残っていましたが、途中品で進捗状況を報告したりしていました。

最初の試作品は、プレスで缶を成形するときに、缶にわずかな凸凹ができ、缶の周囲にそって縞模様ができてしまいました。 それならばと、成形方法を若干変更したところ、違う場所に縞模様ができてしまいました。今度こそと、成形金型の形状を修正したところ、うまく成形できず缶になりませんでした。縞模様もなく、きれいな肩を作るためにはどうしたらいいのか? この難しい問題は、理論で抜けているところがあれば、迷路に入り込みもう頭の中だけでは解決しません。とにかく、何度も試作用の成形金型を作り、試作チームと相談しながら試作を繰返します。

試作チームは、理論で作られた試作用金型で実際に試作品を作成する実行部隊です。 なかなかうまくいかない成形金型で何とか良い試作品を作ろうと、奮闘してくれます。成形金型は、どんどん修正されて片っ端から試されていきます。 まさに火事場のくそ力!最初はうまく缶に成形できないものの、なんとか成形してくれます。次はわれわれ設計チームの出番です。試作チームが修正してくれた金型を元に、頭をフル回転させ、新しい理論を組み立てなおしていきます。 そしてもう一度成形金型を作り試作チームに託すのです。「よしこれだ!」両チームの連携を何度も繰り返して試行錯誤し、ついに縞模様のないスムーズな肩をうまく成形する条件を見つけました!

このようにして、現在のニューボトル缶の「スムーズな肩」は出来上がりました。物事はなんでもやってみることが一番です。 そして、「できる!」と思うことです。「できない」と言いたくないプロは、工夫を重ねて作ってしまう。 それは、知識や技術だけではないのです。今や設計にも3DCAD( 3次元コンピューター設計<*1> )が入りFEM解析( 有限要素法解析<*2> )もできるなど開発環境は間違いなく進歩していますが、どんな時でも肝心なところは、やっぱり「火事場のくそ力」。そう「不可能を可能にする!」をモットーとするだいわマンの「マンパワー」こそ弊社の宝物なのです。そして、技術屋として不可能といわれたものを成し遂げたときの快感ったら・・開発って面白くて癖になりそう!

(おかげさまで、「キャン・オブ・ザ・イヤー」でグランプリを受賞しました。


*1:「3DCAD( 3次元コンピュータ設計 )」とは
缶などの立体的な形をたて・よこ・高さ(x・y・z)の3次元の数値で表すしくみのことで、コンピュータに記憶させ、設計する手法です。「CAD」はComputer(コンピュータ) Aided(支援) Design(設計技法)の略語。

*2:「FEM解析( 有限要素法 )」とは
缶などの材料(アルミなど)を、細かい部分では0.1mm程度の形( 有限要素 )にまで分け、力を加えてほんのわずかに変化した形とこれにかかる力を計算し、その変形後の形に力を加えてまたわずかに変化した形とこれにかかる力を計算するという事をたくさん繰り返して、最終的にどのような形になってどのくらいの力に耐えられるか( 強度 )を予測する方法です。 金型の形などの条件をコンピュータにインプットすることで、成形後の形と強度を予測できます。「FEM」はFinite(有限) Element(要素) Method(方法)の略語。